ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2010-10-20

『アナーキー・イン・ザ・JP』


アルバイト先の書店で上司に薦められた一冊。もともとこういう現代小説はあまり読まない人間なので、薦められなかったら確実に読むことはなかったであろう本なんですが、読了後の今はこの本を紹介してくださった上司に感謝です。痛快な読みごこちと、謎の感動があります。



昭和時代の有名な無政府主義者、大杉栄の魂が、現代を生きるパンクな高校生に乗りうつってしまうってしまうという、一見「?」な話。これがなぜだか、面白い。僕は大杉栄については高校の日本史で習った程度の知識しかありませんでしたが、大杉がどういう人間だったのかもよく伝わってきますし(実際に作中の様な口調で話していたのかは疑問ですが)、昭和時代の無政府主義者が現代の様々な事象をみて想ったことや、無政府主義者がパンク少年と妙にマッチする様など、物語としてもとても楽しめました。大杉が「インターネット」を「インターナショナル・ネットワーク」つまり「第4インター」と勘違いし、現代に世界革命が成就したと勘違いしてしまうあたりなんかは、思わず笑ってしまいました。
現代の高校生、パンクロック、無政府主義、と一見関係のない物事をつなぎ、この物語を作品として成り立たせているのは、次の一文だったような気がします。
<いや、そうだ。間違いない。アナーキストってのは、実は思想家や運動家じゃないんだ。まぁ、いわば性格とか人柄なんだな。顔を見ればわかるよ、そいつがアナーキストかどうかなんて、すぐにね>(p131)
オビには「痛快『青春』パンク文学」と紹介されています。はじめ、大杉栄が出てくる「青春」文学? って疑問に思いましたが、確かに「青春」文学です。最後のライブのシーンには、謎の感動があります。自分でも、なぜ感動したのか、うまく言葉で説明がつかないのですが…。


0 件のコメント:

コメントを投稿