ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2011-06-15

『20歳のころに知っておきたかったこと』

旅にとって読書は欠かせない要素です。英語を勉強しにフィリピンに来ている僕が言うのもアレですが、海外にくると、なぜか無性に日本語の本が読みたくなってしまいます。今回は運良く、前から読みたいと思っていた本をルームメイトが持っていたので、借りて読んでみました。英語タイトルは、What I Wish I knew When I Was 20.関係代名詞と仮定法の良い勉強になる、絶好のタイトルです(笑)それにしても、実に半年ぶりの書評だ…。



のっけからかなり面白い、というか、モチベーションを奮いたたせてくれる本であることには気づきましたが、次の一文を見つけたときに、思わず身震いがしました。
そのうち、人間は二つのタイプに分かれることがわかってきました。自分のやりたいことを誰かに許可されるのを待っている人たちと、自分自身で許可する人たちです。自分自身の内面を見つめて、やりたいことを見つける人がいる一方で、外からの力で押されるのをじっと待っている人もいます。私の経験から言えば、誰かがチャンスをくれるのを待つのではなく、自分でつかみに行った方が良い面がたくさんあります。(p72)
僕は現在24歳。普通なら、入社2・3年目の働き盛りの会社員です。正直、世界放浪旅行に出発するにあたって、迷いが無かったわけではありません。日本に帰ったとき、無事社会に復帰できるだろうか。友達はまじめに働いている中で、自分だけこんな好き勝手をやっていていいのか。そもそも、この選択は果たして本当に正解なのだろうか。

…正直、いろんなことが、頭の中をよぎりました。

でも、「正解」なんてものはどこにも無いのです。自分に許可を与えるか、他人の許可を待つか、二つの選択肢があるだけです。自分は少なくとも、自分で自分に許可を与えて、いまここにいる。自分のやりたいことをやっている。それでいいじゃないか。それが正しい選択だったかどうかなんてのは、最後にふりかえれば、それで良い。

おそらく多くの人にとって、自分のやりたいことをする上で壁になるのが「他人の意見」でしょう。人は、特に日本人は、そう簡単に人の他人の意見を無視はできない。

有名な心理学者のB・F・スキナーは、かつてこう言いました。人間の行動はすべて、個人の欲求か、種の欲求か、社会全体のルールに適応したものになる、と。ただし、これらの3つのルールは、隅々に張りめぐらされています。ルールを決めるのは、政府や宗教団体、雇用主、学校、隣人、家族など。こうした社会組織がそれぞれはっきりしたルールを作るからこそ、個人の欲求を満たしたり、種の欲求に駆り立てられたりして、ルールを破りたくなることがあるのです。(p46)

著者のティナ・シーリグは、B・F・スキナーの言葉を借りて「他人の意見」のことを「社会全体のルール」と表現しています。この「社会全体のルール」は、特に日本社会においては、破るのはそう簡単ではありません。それを破った果てに待っているのは、いわゆる「村八分」だったり、「いじめ」だったりするわけです。そういうものが待ち構えているからこそ、他人の意見を無視して、自分が本当にやりたいことをやるには、それなりの精神力が必要とされる。でも、そんなタフな精神で「いいから早いとこ、自分に許可を与えてしまいなさい!」と、ティナ・シーリグは声を大にして叫んでいるわけです。
最後の「第10章 実験的な作品」では、彼女は出だしからこう言い切っています。

種明かしをすると、これまでの章のタイトルはすべて、「あなた自身に許可を与える」としてもよかったのです。わたしが伝えたかったのは、常識を疑う許可世の中を新鮮な目で見る許可実験する許可失敗する許可自分自身で進路を描く許可、そして、自分自身の限界を試す許可を、あなた自身に与えてください、ということなのですから。じつはこれこそ、わたしが20歳のとき、あるいは30、40のときに知っておきたかったことであり、50歳のいまも、たえず思い出さなくてはいけないことなのです。(p206)

20代のうちにこういう言葉に出会えてよかった。長い旅の出だしから、こういう言葉と出会えてよかった。本当に、そう思います。この学校には、昔の僕みたいに、自分のやりたいことや夢のために休学してこっちに来ている学生がたくさんいます。彼らは非常にモチベーションが高く、僕にとってもとても刺激になるのですが、もしまだこの本を読んだことがないのなら、是非とも早いうちに読んでおいた方が良い。きっと何か得られるものがあるはずです。読みたくなったら、Garden Villaの503にいつでもおいで。俺の本じゃないけど、たぶんArataは快く貸してくれるはず(笑)

こういうことを考えていると、どうしても思い出してしまうのが、アップルの創業者スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った、あの伝説のスピーチです。
D
このスピーチに初めて出会ったのは、3年前のことでした。当時も、そして今もなおですが、僕はこの力強い言葉をきけばいつも、目頭が熱くなるのを抑えきれません。

自分の一番好きな部分を自分なりに訳して、今日の記事を締めくくりたいと思います。いわゆる「超訳」なので、かなり自分の都合のいいように解釈した上で訳しています。語順とか単語への忠実さとか、もうめちゃんこに無視してます。あまりにも有名なスピーチなので、探せばもっと良い訳はたくさんあるはずですから、英文法にそった正確な訳文がほしい方は、そちらをあたってみてください。

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma ― which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.


時間は限られている。だから、君は君の人生をこそ、きちんと歩むべきだ。ドグマにとらわれてはいけない。他人の意見に従って生きていても、そんなものに意味なんて無い。他のやつらに、君の内なる声をかき消されるな。一番大切なことは、心と本能に従う勇気を持つことだ。それらはどういうわけか、君が本当にしたいことを、とっくの昔からわかっているのだから。それ以外のことなんて、どうだっていいんだ。
スピーチの全文は、こちらからどうぞ → http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html

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