ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2010-04-30

イギリス総選挙がいろいろと面白い

■ブラウン首相、痛恨の失言

日本では次期参院選をにらんで新党の結党が相次いでいますが、現在イギリスでは総選挙(庶民院議員選挙、さらに地方統一選も同日実施)の真っ只中にあります。投票日はちょうど来週木曜日(イギリスでは伝統的に総選挙は木曜日に実施)の5月6日です。
そんな中、与党・労働党党首、現英国首相のゴードン・ブラウンが痛恨のマイクトラブル。
【4月29日 AFP】総選挙を来週に控えた英国で28日、遊説中のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相が有権者の女性を「頑固者」呼ばわりし、直接謝罪した。厳しい戦いの中、大きな痛手となった。
イングランド北西部ロッチデール(Rochdale)を遊説していた労働党党首のブラウン首相は、テレビカメラの前で、有権者のギリアン・ダフィー(Gillian Duffy)さん(66)から移民政策、国債、税金などについて質問を受けた。
首相はダフィーさんとの会話を終え車に乗り込むとすぐさま側近に対し、「とんだ災難だ。あの女とわたしを会わせるべきではなかった。誰のアイデアだ?」と文句を言い、「あの頑固な女め」と悪態をついた。車はすでにその場を離れていたが、マイクのスイッチが入ったままで、会話が拾われてしまった。
これまでずっと労働党を支持してきたダフィーさんはブラウン首相の態度について、「ひどすぎる」とし、「本当にがっかりした。教養のある人なのに、なぜあんな言葉が出るのかしら」と語った。ブラウン首相が選挙で勝ってほしいかと聞かれると、「今はどちらでもいいわ」と答えた。
(AFP http://www.afpbb.com/article/politics/2722323/5682645#blogbtn
問題のシーンはこちら
D
いやー、笑えるくらい見事に録音されちゃってますね。ただでさえ逆風の労働党にこの痛恨の失言。ブラウン首相はこの後ギリアン氏の自宅へ謝罪に訪れたみたいですが、英国では今このニュースで持ちきりです。海外のニュースなんかろくに放送しない日本でも、報道されてるくらいの大失態です。

■総選挙概要

労働党政権は賞味期限切れ?
さて、今回の総選挙ですが、いろんな意味で注目されてます。まず第一に、97年以来ずっと政権を担当していた労働党政権への審判という点。特に07年にブレア首相のあとを継いだブラウン首相は、今まで一度も総選挙の信任を受けておらず、これが初めて浴びる国民の審判となります。
はじめはそこそこだった支持率ですが、世界金融危機のあおりを受けて失速。さらに、ブレア政権下でブラウンがずっと財務大臣を務めていたことから、金融立国を目指したブラウンの過去の仕事まで非難される有様。加えて、議員の経費乱用問題や党内の反乱など厳しい状況下でここまでなんとかやってきました。

イギリスでは政権交代は日本に比べて頻繁に起こります。97年-10年までの13年間政権を担ってきた労働党。そろそろ第一野党の保守党へ政権交代の時期、といえばそうなのかもしれません。
ところが今回は、素直に「労働党が駄目だから次は保守党政権で」とはならない事情があるのです。
第3極の台頭とハング・パーラメント
第2の注目は、イギリスの伝統、2大政党制が崩れつつある点です。3ヶ月くらい前までは、保守党による政権交代は確実、というのが一般的な観測でした。しかし、保守党が政策面で労働党との差別化に成功していないことなどから、いまいち保守党も支持率を伸ばせていません。両2大政党の間を縫って支持率を伸ばしつつあるのが、第2野党の自由民主党です。

英国にも自民党ってのがあるんですね(笑)ちなみに英語表記はLiberal Democrats(通称LibDem リブデム)、日本の自民党はLiberal Democratic Party(LDP)です。

この第3極・自民党の台頭で懸念されるようになってきたのが、ハング・パーラメント、つまり、どの党も議席過半数を獲得できない状況です。「宙吊り議会」などと訳します。どうも現状ではハング・パーラメント化の可能性がかなり高いみたいですが、そうなると政権を樹立するために、どうしても2つ以上の党による連立が必要になります。

政策面から見て、保守党が自民党と組む可能性は低いため、労働党は自民党を取り込んで政権を維持する可能性が浮上し、保守党は単独過半数を目指して奮闘中、というのが現在の状況です。ただ、議席数第1党が保守党となった場合、それに劣る労働党=自民党連合が政権を担当するのは民意の反映としてはどうなのか、という問題があります。

自民も民主もダメ。間隙を縫ってみんなの党の支持率が上昇、という日本の状況に似ていますね。ただ、英国の自民党は現状でも62議席、全体の22%を占める立派な第3勢力。みんなの党とは規模が違います。たちあがれ日本、新党改革など、第3極がまとまれば、自民・民主を脅かすことが出来るのかもしれませんが…。

■選挙特集サイトが面白い

今回の選挙で個人的に興味を惹かれているのが、英国の選挙特集サイトの充実振りです。BBC(英国放送教会、イギリス版NHK)やGurdian紙のサイトなど、非常に面白いガジェットがそろっています。
Election Seat Calculator(BBC)
実際に見てみましょう。こちらは、BBCのElection Seat Calculator(http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/election_2010/8609989.stm
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上の画面は、4月27日のYouGov社による世論調査の結果を反映した選挙区勝敗一覧。各政党支持率、労働党28%/保守党33%/自民党29%を反映すると…おお、このままなら労働党が第一党の座を守れそうです。ただ、過半数には達しないため、ハング・パーラメントとなってしまいます。
さて、上記の失言事件を反映して労働党の支持率が下落したと仮定しましょう。左上の円グラフのつまみを移動させると、それぞれの政党支持率が変化。各選挙区の当落予想も変化します。ちょっと極端ですが、労働党が支持率を10%近く落とし、労働党20%/保守党35%/自民党35%でシュミレーション。
すると…。
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保守党が第1党となり、労働党は第2野党に転落。しかし、またもハングパーラメントです。労働党143・自民党181の議席を足して324議席。保守党の297議席を超えます。これは自民=労働党連立政権の誕生か!? 
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ちなみに上の画面は、ブレア労働党が政権を奪還した97年総選挙の再現。歴史的大勝利とされていますが全英が労働党のシンボルカラー・赤一色。円グラフの真ん中も、労働党のシンボルマーク・赤いバラです。
Election map and swingometer(Gurdian)
こちらはGurdian紙のElection map and swingometer(http://www.guardian.co.uk/politics/interactive/2010/apr/05/general-election-map-swingometer)。ガーディアンは、どちらかといえば労働党よりの新聞と言われています。
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上が選挙前の現在の議席状況。ロンドン・マンチェスター・エディンバラなどの都市部で労働党、逆に地方では保守党が多くの議席を占めていることが一目瞭然です。

さて右上の丸ボタンをスイング。労働党の支持率を大幅に減らし、保守党を大幅、自民党を小幅に支持率上昇のスイングをかけます。すると…
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おお、保守党の単独過半数が実現です。ただ、この可能性は低そうなので、次は労働党の支持率減少をそのままに、自民党の支持率を大幅にアップしてみます。すると…。
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労働党が第1党を守ったものの、またもハングパーラメントです。自民党と連立すれば過半数を獲得。労働党と保守党の間にもかろうじて1議席差があるので、なんとか体面を維持できそうな連立政権の誕生です。

…とまぁ、こうやってマウスの操作だけで気軽に選挙予測を楽しめるわけです。実際にどんな計算式を使ったソフトなのかは解りませんが、どれもハングパーラメントの可能性が高そうですね。

それにしてもこれは面白い! たぶん画面だけみててもわかりにくいと思いますので、実際にいじってその面白さを体験してください。今回は2つだけ紹介しましたが、他にもいろいろな選挙予測ガジェットが存在します。
日本の報道各社にも、参院選が始まる前に、是非これに匹敵するガジェットを作成していただきたい!

2010-04-23

『ユリウス・カエサル ルビコン以後[下]』


塩野七生の『ローマ人の物語』シリーズです。流石に長いので、このシリーズに関しては自分の興味のある部分だけ買ってつまみ読みしてます。DVDで『ローマン・エンパイア』を見たのがきっかけで、カエサル死後のローマ史を復習したくなったので読んでみました。



主人公はオクタヴィアヌス(アウグストゥス)。彼が若かりし頃の活躍と、老いてからの苦悩のシーンを交互に展開。時代が行ったり来たりするのに加えて、誰が誰を演じているのかわかりにくいので、ローマ史の知識がない人がいきなり見ると展開を追うだけで精一杯かもしれない。老いたアウグストゥスを演じるピーター・オトゥールの演技が秀逸。



タイトルは『ユリウス・カエサル』ですが、この巻はカエサル暗殺に始まって、オクタヴィアヌスがその後を継ぐまでの話。事実上、アントニウス&クレオパトラ VS オクタヴィアヌスの戦いがメインです。
内容の要約をしてると、そのまま史実を追うだけになってしまいますので、印象に残った塩野さんの文章の引用だけします。塩野さんの文章は、史実の描写も簡潔・明快でわかりやすい上に歴史だけに留まらない、物事の本質というか、核心を鋭く突いてくる文章が読んでてとても勉強になりますね。
ユリウス・カエサルの名を継ぐことは、1億セルティウスの金の寄贈よりも効力があったのだ。それを解ってて遺したカエサルも見事だが、18歳でしかなかったのにカエサルの真意を理解したオクタヴィアヌスも見事である。世界史上屈指の、後継者人事の傑作とさえ思う。(p109)
…(略)…優れた男は女の意のままにならず、意のままになるのはその次に位置する男でしかない…(略)…
意のままにならなくてもそれでよしとするか、または、器量才能では第一級とはいかなくても、意のままになる男を採るか。クレオパトラは、後者を選んだ。これで、彼女の以後の生き方も決まった。(p153)
カエサルは、自らの後継者と密かに決めた17歳当時のオクタヴィアヌスにアグリッパを配することで、若者に一つのことを教えていたのである。自分にある種の才能が欠けていてもそれ自体では不利ではなく、欠けている才能を代行できる者との協力体制さえ確立すればよいということを、教えたのであった。(p159)
クレオパトラは、ギリシア語・ラテン語はもちろんのことエジプトの民衆の言葉まで解したという。しかし、多くの言語を巧みに操る技能(タレント)と知性(インテリジェンス)は、必ずしもイコールではないのである。(pp179・180)
全15巻、文庫にして40巻以上のこのシリーズですが、カエサル、オクタヴィアヌス、ブルートゥス、キケロ、アントニウス、クレオパトラと豪華な登場人物に恵まれた本編は、特に面白い一冊だと思います。もともとDVD『ローマン・エンパイア』のおさらいをするために読み返しているこのシリーズ。続けて、『パクス・ロマーナ[上]』を読みたいと思います。


2010-04-20

『the hell song』

ちょっと前からバイト先の面子でバンドをやっています。なんか演奏にちょうどいい曲ないかなー、と曲をあさっていたところ、再発掘したのがこの曲。Sum41の『the hell song』です。
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曲も格好いいし、自分の担当するドラムパートも面白そうなので、現在メンバーをこの曲をやる方向で説得中。
ただ、一見歌詞の意味が分かりにくかったので、一度きちんと訳してみようと思いました。あと、ボーカル担当者のための参考資料です(笑)以下、英語の歌詞と、下段に自分なりの和訳。歌なので、めちゃくちゃ意訳です。
Everybody's got their problems (problems)
誰もが問題を抱えている
Everybody says the same thing to you
誰もが同じことを言う
It’s just a matter how you solve them (solve them)
「問題はそれをいかに解決するか
And knowing how to change the things you've been through
過去をどうやって変えるのかなんだ」と


I feel I've come to realize
どうやら僕は解ってきたみたいだ
How fast life can be compromised
人生がどんなに傷つきやすいものなのかを
Step back to see what’s going on
何が起こっているのかを見極めるために、一歩身を引こう
I can’t believe this happened to you
僕にはそんなことは信じられないんだ
This happened to you..
そんなことは…


It’s just a problem that I'm faced with
これは僕の問題なんだ
Am I not the only one that hates to stand by
だけど、こんな状況が嫌なのは僕だけじゃない
Complication's headed first in this line
問題はとても複雑だけど
With all these pictures running through my mind
僕には頭の中を駆け抜けた光景があるんだ


Knowing endless, consequences
終わりがないことも、その結果も知ってるから
I feel so useless in this
徒労感ばかり感じてしまうけど
Get back, Step back,
一歩身を引いて状況を見極めるんだ
and as for me, I can't believe
僕にはどうしても信じられない

★ Part of me, won't agree
僕の中の何かがどうしても認めようとしないんだ
Cause I don't know if it's for sure
だってそれが本当に確かなのかなんてわからないだろう
Suddenly, suddenly
何故だかもう、突然
I don't feel so insecure
不安は感じなくなってしまったんだ <★繰り返し>
Anymore (So)
何も感じなくなってしまったんだ

Everybody's got their problems (problems)
誰もが問題を抱えている
Everybody says the same thing to you
誰もが同じことを言う
It's just a matter how you solve them (solve them)
「問題はそれをいかに解決するかなんだ」と
What else are we supposed to do..
だけど他に、一体どうしろって言うんだよ…

★ Part of me, won't agree
僕の中の何かがどうしても認めようとしないんだ
Cause I don't know if it's for sure
だってそれが本当に確かなのかなんてわからないだろう
Suddenly, suddenly
何故だかもう、突然
I don't feel so insecure
不安は感じなくなってしまったんだ <★繰り返し>
Anymore (So)
何も感じなくなってしまったんだ


Why do things that matter the most
なぜそれが一番大切なのか知っているんだろう?
Never end up being what we chose
選んだことに終わりはない、それを続ければいいんだ
Now that I find out, it ain't so bad
それがわかった今、そんなに悪い気はしない
I don't think I knew what I had [x2]
僕はもう、過去を気にしたりはしない


かなりの独自解釈になってしまっている部分も相当多いと思います。Wikipedia当該項目(英語版)の記事によれば、HIVに感染した友達のことを歌っているのだそうです。

I can’t believe this happened to you 僕には君に起こったことが信じられない
Knowing endless, consequences I feel so useless in this 終わりなきことも、その結果も知っているから徒労感ばかり感じてしまう
とかいったフレーズはそのことを指しているのでしょうね。

そういえば、以前知り合いでこの曲のサビのフレーズ、「Suddenly, Suddenly」を「Sunny rain, Sunny rain」と覚えている人がいました。曰く「晴れなのに雨なんだよ。この矛盾ぐあいがなんともロックじゃない?」とのこと。…言われてみれば、確かにSunny rainに聞こえないこともないな…(笑)


2010-04-16

『血戦』

ドラマ『宿命 1969-2010 -ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京-』が面白かったので、続編に当たる『血戦 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京2』を読んでみました。ドラマは上杉景勝…もとい北村一輝演ずる有川崇、彼を支える妻白井尚子、老獪な政治家白井眞一郎と、魅力的なキャラクターに恵まれ、わずか8話ながら、非常に楽しめました。見終わった後、続編にあたる小説が発売中、とのことで即購入。



■ドラマ版との差異

ドラマの原作に当たる『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』上・下巻は読んでいなかったので、まずは小説版とドラマ版のキャラクターの違いに目が行きました。『2』のみ読んだだけでも解る一番の違いは、有川崇と政略結婚の末に結ばれた妻・白井尚子の性格でしょう。ドラマ版では政略結婚でありながらもそれなりに愛に溢れた夫婦生活を営んでいた様ですが、『2』では崇の失脚後、完全に愛がさめてしまっています。ドラマ版の尚子の性格なら、夫が失脚し、冷や飯を食う生活が続いても、2人の間の愛は冷めず、むしろけなげに夫を支えていきそうな気がします。

個人的にはドラマ版の尚子の方が、キャラクター造形的に好きですね。『2』では、ドラマで崇が「あのお嬢さん、なかなか肝が据わってます」と賞賛した尚子の強さがあまり感じられませんでした。
■現実を追う展開
ドラマでは崇が岳父・白井眞一郎に叛旗を翻すところで終わりましたが、『2』では実際に崇が政界に進出するため、眞一郎と同じ選挙区で野党の刺客として出馬し、その選挙戦がメインとなっています。

この選挙戦というのが、民主党による政権交代が実現した、現実世界の2009年の衆議院選挙の流れをトレースした形で展開します。5年に渡る長期政権、後に続く2人の総理の電撃辞任、世界金融危機の発生と与党への逆風、“豪腕”で与党へのゆさぶりをかける野党幹事長・・・。これらの既視感あるできごとが、小説の中でも同じように展開します。

もちろん、我々は政権交代にいたる(いたってしまった・・・)までの一連の政局を見てきたからこそ、この小説の劇的な選挙戦にもリアリティを感じることが出来るのですが、少し現実に起きた出来事に即しすぎているのではないかな、という印象を持ちました。読んでいて、去年の政局をおさらいしているような感覚にすらとらわれてしまいます。もう少し小説オリジナルの展開があっても良かったのではないでしょうか。

あんまり現実の流れに制約を受けすぎてしまうと、今後の小説の展開も、現実の政局に左右されかねないのが心配です。実際に今は民主党政権がボロボロになっていますが、こんな状況の中で(架空の)野党新人議員・有川崇はどう動けるのでしょうか?
■なんだかもったいない・・・
物語全体にいえることなのですが、もう少し深く書き込んだり、エピソードを増やして欲しいな、と思いました。この話の魅力は登場人物のキャラクターと、人物同士の複雑な関係の展開にあると思うのですが、『2』では新しい登場人物も増え、「この人とこの人会話させたら面白そうだなー」と思うことがしばしば。ドラマ45分×8話分と比べると、これだけの話の流れがわずか250ページ、どうしても薄っぺらい印象が否めません。200ページくらい読んで、「え?もう終わり?」と思っていしまいました。この3倍のページを使って、もう少し深くじっくり書いて欲しかった。話自体はとても面白いのに、深く書き込める、という小説形式の利点が感じられません。なんだか、非常にもったいない。

まぁ、ドラマの放送にあわせて急遽書き下ろしたのでしょうか、時間もあまりなかったのかもしれませんが、それだけの力が、作者にはあるように思えます。

ともあれ、プロローグ&エピローグにわずかばかり登場する宣子の存在といい、いかにも「続きます」的な終わり方です。続編が刊行されるのを楽しみにしています。