ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2011-08-06

フィリピン家庭事情

昨日の日記から話をつなげて、フィリピンの家庭事情について触れてみたいと思います。


■大家族制

まず、前にも触れたとおり、フィリピンは基本大家族です。子供が4・5人いるのは当たり前。親戚も、だいたい似た地域に住むことが多く、血縁・地縁・縁戚関係によるコミュニティは非常に強い。マニラ首都圏では多少事情は違うかもしれませんが、僕のいたバギオではそうでした。学校にも、いとこ同士だったり、遠い親戚だっていう先生達が数人がいました。

フランスに招かれたHouse blessingでも、親戚大集合でした。これだけの規模で親戚が一同に会するのは、日本だと冠婚葬祭のときくらいだと思いますが、こっちではそれほど珍しいことでもないそうです。実際、親戚同士だとみんな顔がちょっとずつ似ているので、だんだん本物のフランスがどこにいるのかわからなくなってきて大変でした。リアル間違い探し状態・・・。

【注】ただ、さすがに本当の冠婚葬祭になると、海外労働者が多い、というフィリピン独特の事情から、親戚みんなを集めるのはそれはそれで大変。だいたい親族もれなく集まるには、1週間前後が必要とのこと。
■早期の結婚
結婚年齢が早いのも特徴です。僕くらいの年代(24)だと、たいてい結婚して子供のいる先生が多いですね。これには、カトリックの影響が未だに強く、避妊・中絶が一般的ではないフィリピンならではの事情もあります。これに関しては、リアルタイムで論争の真っただ中でして、reproductive health policy (性や出産に関する健康政策)を進めるアキノ大統領と、カトリック教会側がもめています。

(→ 「避妊普及法案」で論争 フィリピン

宗教的要因のほかに、フィリピン人の結婚が早い理由として、先生が「フィリピンの大学生は暇だから」説(笑)を唱えていたので、それも紹介します。というのも、フィリピンでは大学がだいたい15時くらいに終わり、その後はみんな暇になるらしい。そのあとは、みんなデートに行くのが当たり前なんだと。それくらいしかやることがないんだよ、と。「フィリピンの学生は、放課後Library(図書館)ではなく、Loverary(愛の巣)に行くのさ」ってジョークも教わりました。要は、日本と違って、若い頃の付き合いがそのままダイレクトに結婚につながりやすいフィリピンの事情を自虐的に皮肉ったものらしいですね。

「大家族」「早期の結婚」は、実際に弊害も多いのが現状です。というのも、やはりフィリピンの平均所得は高いとは言えず、にもかかわらず若いうちから子供をつくると、あまり貯金ができない。しかも、何人もの子供をかかえていれば、それだけ教育費もかさむ。結果、暮らしは豊かにならない。これらも、上記の通り政府側がreproductive health を推進する理由です。先生の中にも「若いうちの結婚なんてするもんじゃないわね。自分のやりたいことも、ろくにできない。あなたが羨ましいわ」って愚痴ってくる人がいましたね。そのココロは、本気か否か?

f:id:naotoyota:20110724172719j:image:w150

(▲産休で教壇を離れたT.Joan。お世話になったので寂しかったのですが、帰国直前に無事女の子が生まれたと聞いて、急遽子供の顔を見に自宅までお邪魔しました。歳は僕よりも3つ下の21歳)

ただ、フィリピン人にとっての幸福度の中に「家族」が占める割合は非常に大きく、その先生もなんだかんだ言って旦那さんと子供に囲まれた、とても幸せな暮らしを営んでいるわけです。先ほど言ったとおり、血縁・地縁が強いので、旦那・奥さんともに両働きでも、子供の世話をおばあちゃんがみてくれたりするのです。経済的には苦しいかもしれない。けれども、家族や、地域のコミュニティはしっかり機能していて、その中で幸せを感じて生活できるのが、フィリピン社会です。


■日本とフィリピン
これは、「無縁社会」だの「孤立」だのと叫ばれて久しい日本にとって、ひとつの参考にはなるんではないかと思うのです。マニラ首都圏はどうかわかりませんが、「無縁」なんて言葉は、少なくともバギオでは感じられませんでした。日本とフィリピンでは状況が違いますから、単純に「家族や地域コミュニティを復活させよう」といっても乱暴な話ですけれども、どうしてフィリピンにはそういったものが残っているのか、日本ではなぜそれが失われてしまったのか、それらを検証してみるのも、面白いと思うのです。



また、特に僕らの世代は「働いても給料があがらない世代」だの「仕事が忙しくて恋愛・結婚・子育てもろくにできない世代」だの、いろいろ言われているわけですが、本当にそうなのか? とも思ってしまいます。所得が低くても、忙しくても、周りの助けがあれば子育てはできる、というのは、現地の人たちをみて思いました。恋愛・結婚ができないってのも、このあたりの原因は社会構造的な問題もさることながら、「草食系」という言葉に集約される、日本人の覇気の低下現象にも原因があるのではないかと、僕は思ってしまいます。いや、理屈じゃなくてただの印象論なので反論はうけつけません(逃亡)

ともあれ。

日本からは失われてしまった、地域・親戚のコミュニティが色濃く残っているフィリピン。この国なりの問題をかかえているのも事実ではありますが、人々の暮らしは幸せそうです。「幸せ」の定義は人それぞれですが、僕はこういう社会、好きですね。

2 件のコメント:

  1.  マニラでアパートに住む、オンラインの先生達も決して一人でなく、妹や親戚の人と一緒だったりで、家族や親戚のつながりを大切にしています。学生の先生も多く、空いた時間でオンラインの先生をやったり忙しいようです。フィリピンは、貧しいけど親戚や近所が助け合っていた私が中学生の頃の日本と同じ感じですね。

    返信削除
  2. 家族、親戚思いはフィリピンの人達の共通した性格のようです。講師はよく故郷の家族のことや兄弟の話をします。 マニラはバギオよりもっと貧富の差がひどく、ストリートチルドレンが話題になります。都会に人が集まるのは同じですね。

    返信削除