前編:邂逅
後編:旅の恥はかきすて
前編・後編では、眞熙自身よりもむしろ、眞熙との出会いで影響を受けた、自分の変化にウエイトを置いて書いたので、そろそろ本格的に眞熙の人間分析を始めたいと思う。
眞熙は、人間観察をする上で、他の人間とは明らかに一線を画す「属性」を持っている。それは「エリート」であるということ。まず彼の大学だが、韓国の首都・ソウルのハンニャン大学という。
眞熙や、後であった他の韓国人の話から判断すると、日本でいう一橋大学あたりに相当するのだと思う。要は、「ちょっとアタリが悪くて東大にいけなかった」レベル。 韓国には徴兵制があるけれど、彼の所属部隊が派遣された地域も、他の韓国人は「あ、それ、エリート部隊のいくトコだね」と言っていた。
父親はドイツで建築の仕事をし、母親は昔フランスに住んでいたお嬢様。父親は今でもドイツで仕事をしていて、親に会いに行くのも、眞熙の旅の目的の一つだった。彼自身も英語は難なく話し、簡単なドイツ語・フランス語も話せる。
ステータス的には、こんな感じ(はぁ、思い出しながら書いてて嫌になってきた) 。
表向きのステータスに加えて、先に触れたように、眞熙には余りある行動力が備わっている。つまり、エリート育ちではあるが、ペーパーテストしかできない書斎派ではない。
「血統がよく、一流の環境と教育を受けてはいるが、地は粗野でアクティヴ」というのは、古今東西、他人を引き付ける人間の典型の一つだ。
- ロマノフ家の王子に生まれながら、自分で船の設計までこなした大男 ピョートル大帝
- 英雄アウンサン将軍の娘に生まれながら、地道な民主化活動を続ける スーチー女史
- 財閥の御曹司ながら、べらんめぇ口調でサブカルにも理解を示す 麻生太郎
…と、ここまで書くと大げさかもしれないが、眞熙も程度の差はあれ、間違いなくこの系列に属する人間だった。金の使い方も割と豪華で(儒教社会・韓国人の慣習もあるはずだが)、眞熙には何度かおごってもらった(ごっつぁんです)。
友人にも一流人が多く、フランスの3つ星レストランで働いているソムリエ、プロのカメラマン、Googleだかどっかで働くプログラマー etc...。それらの友人から教わったワイン、パソコンの知識、写真術はどれも凄いものだった。特に目立つ特技のないT田といて、眞熙はさぞ退屈だっただろう(あぁ、もう書いてて落ち込んできたわ…)。
そんな彼の目標は、「United Nations of Department Economic」国連の経済部門で働きたいのだそうだ。国連というと、人道主義・理想主義者の集まりというイメージがあるが、眞熙が興味あるのはそんなものではない。眞熙は純粋に、世界経済戦争のいちプレーヤーとして、ゲームに参加したがっている。そのための所属団体として、国連に魅力を感じているらしい。
国連を、世界最高の良心ととらえる人間も多いこの世の中、彼の国連観は、「世界に数多くある国際機関の一つに過ぎない」という認識だ。 一般人の思考文法とは、根本が違うのである。
歴史を勉強する上で、以前からエリート育ちの人間がどんなんだかには興味があった。まさか、ヨーロッパで韓国人のエリートと出会うとは思いもよらなかったけれど。
さて、現在大学4年生で卒業も決定している彼は、08年の4月から、ドイツの銀行に勤務するらしい。
これからこの男が、世界でどんな活躍をするのか、今から楽しみだ。忙しくなるだろうけど、たまにはメール頂戴ね。
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