ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2008-09-08

『宇宙百景』

宇宙開発マンガ、『MOONLIGHT MILE』の副読本として編集された本書。自分は今でこそバリバリの文系人間ですが、中学時代の夢は「スペースエンジニア」でした。そんな自分にとっては、絶好の読みものです。書店で発見して、思わず衝動買いしてしまいました。素晴らしいのは、表紙をめくった次の瞬間にあらわれる、巻頭言。

宇宙よりも宇宙を語る言葉が宇宙だ



さらに注目は、日本ロケット開発の父・糸川英夫氏の紹介記事と、元総理大臣・中曽根康弘氏のインタビュー。アメリカのアポロ計画が、科学者ヴェルナー・フォン・ブラウンとジョン・F・ケネディ大統領との二人三脚で成功へと導かれたことは有名です。が、日本にも、宇宙開発に情熱を注いだ政治家&技術者のコンビがいたんですね。この国にも、しっかりと。そのことを知れたのが、本書の一番の収穫でした。

残念ながら糸川さんは99年に亡くなられていますが、中曽根さんは08年現在、90歳になられています。
この夏、日本の月探査衛星『セレーネ』が種子島から打ち上げられる。日本の新たな宇宙開発の足がかりとして期待できるのでは? そう水を向けると、中曽根はニヤリと笑った。
「セレーネ?君はそんなところで満足しているのかね?」
ゆっくりと腰を上げながら、中曽根は僕等が持参した『21世紀への階段』(注:1960年、中曽根氏の主導により編纂された、40年後の未来を予想した報告書)に目をやる。
「よくこういうことに目をつけたね。しかし21世紀に何かが起こるかを書かせる私も大したものだろう」
老雄の口調は、小学1年生を諭すようだった。(2007年3月中曽根事務所にて)(P117より)
こんなセリフを吐ける90歳って、渋いくて僕は好き。

今年5月、『宇宙基本法』(条文はコチラ)が成立したことはまだ記憶に新しいと思います。これにより、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「その目的、機能、組織形態の在り方等について検討を加え、必要な見直しを行う」とされたり、日本版NASAともいえる『宇宙局』や、『宇宙開発戦略本部』が総理大臣直属の期間として設置されることになりました。この法令の要旨は「政治主導の宇宙開発」ですが、本書の記事には、政治はどこまで宇宙開発に介入するべきなのか、ヒントを与えてくれる箇所もいくつか見受けられます。

的川泰宣氏、アニリール・セルカン氏のインタビューなど、様々な分野の記事も満載。宇宙とは何か、宇宙開発とは何か、考えるのに最適の一冊です。

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