ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2008-10-17

『グッド・シェパード』

ちょうど一年前公開されていた映画、『グッド・シェパード』。TSUTAYAにDVDがあったのを発見し、また見てみました。映画公開時に2度見たほど記憶に残る映画でした。通算3回目の鑑賞。



CIAの職員が主人公の、いわゆるスパイ映画です。佐藤優の世界です。DVD版は映画版とは字幕の翻訳が違っていて再発見もありましたが、映画版の訳の方がわかりやすかった気もします。

主人公を演じるのはマット・デイモンですが、寡黙な主人公のイメージが、ピッタリはまっていました。他の映画のデイモンとは、雰囲気がまったく違います。たぶん、役作りにかなり苦労したんじゃないかなぁ。

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■スパイ映画として


ストーリーについては端折りますが、ジャンルでいうとスパイ映画になるのかな? ただ、主人公は工作員に指示を与える立場の人間(=スパイマスター)なので、最前線で活躍するスパイたちのアクションシーンが売りの映画とは一線を画します。時代背景は、キューバが共産化した後のピッグス湾事件を軸に、主人公の人生を振り返る内容で、第2次大戦・米ソ冷戦がからんできます。

3時間近くに及ぶ長い映画で、諜報映画なのでストーリーもそれなりに複雑です。3回目の鑑賞で、初めて気付いた点もありました。そういう意味では、初回よりも、2度目以降の鑑賞の方が面白い映画だと思います。

なお、この映画は、インテリジェンス(諜報)について積極的な評論を行っている佐藤優・手嶋龍一両氏の絶賛を受けており、映画パンフレットの解説を手嶋龍一、公式HPの解説を佐藤優がそれぞれ担当しています(追記:映画公開時にはあったはずの公式ページが、もう無くなってしまっているようです。残念…)。また、CIAもこの映画について事実との違いを分析し公表しています。映画のディテールについては、素人の私があれこれ言うよりもこれらの方がよっぽど参考になると思いますので、紹介しておきます。

以前紹介した、佐藤優 『野蛮人のテーブルマナー』にも、この映画について言及した「映画以上に恐ろしいインテリジェンスの世界」という一章があります。佐藤優も、よっぽどこの映画が気に入ったのでしょうね。

■ウィルソン家3代


スパイ映画としての側面以外にも、この映画は、主人公エドワード・ウィルソンの人生を丁寧になぞり、妻・息子と秘密にまみれた仕事との葛藤を描くことで、家族ドラマとしても仕上がっています。

画面にはほとんど登場してこないのですが、主人公の父親の存在が、重要です。ラストシーンはこの父親の秘密が明かされてるシーンなのですが、これにより、この映画がウィルソン家3代の大河ドラマだったことを暗示させて、映画が幕を閉じます。幼くして父親を失った主人公。秘密が多く、ほとんど家に帰らない父(主人公)を持った息子。主人公は父の影を背負い、息子も父の影を背負って生きています。

鑑賞後に残る余韻だけで、長いエンドクレジットも苦にならずに鑑賞できます。非常にオススメな一本。


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