■ブラウン首相、痛恨の失言
日本では次期参院選をにらんで新党の結党が相次いでいますが、現在イギリスでは総選挙(庶民院議員選挙、さらに地方統一選も同日実施)の真っ只中にあります。投票日はちょうど来週木曜日(イギリスでは伝統的に総選挙は木曜日に実施)の5月6日です。そんな中、与党・労働党党首、現英国首相のゴードン・ブラウンが痛恨のマイクトラブル。
【4月29日 AFP】総選挙を来週に控えた英国で28日、遊説中のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相が有権者の女性を「頑固者」呼ばわりし、直接謝罪した。厳しい戦いの中、大きな痛手となった。問題のシーンはこちら
イングランド北西部ロッチデール(Rochdale)を遊説していた労働党党首のブラウン首相は、テレビカメラの前で、有権者のギリアン・ダフィー(Gillian Duffy)さん(66)から移民政策、国債、税金などについて質問を受けた。
首相はダフィーさんとの会話を終え車に乗り込むとすぐさま側近に対し、「とんだ災難だ。あの女とわたしを会わせるべきではなかった。誰のアイデアだ?」と文句を言い、「あの頑固な女め」と悪態をついた。車はすでにその場を離れていたが、マイクのスイッチが入ったままで、会話が拾われてしまった。
これまでずっと労働党を支持してきたダフィーさんはブラウン首相の態度について、「ひどすぎる」とし、「本当にがっかりした。教養のある人なのに、なぜあんな言葉が出るのかしら」と語った。ブラウン首相が選挙で勝ってほしいかと聞かれると、「今はどちらでもいいわ」と答えた。
(AFP http://www.afpbb.com/article/politics/2722323/5682645#blogbtn)
いやー、笑えるくらい見事に録音されちゃってますね。ただでさえ逆風の労働党にこの痛恨の失言。ブラウン首相はこの後ギリアン氏の自宅へ謝罪に訪れたみたいですが、英国では今このニュースで持ちきりです。海外のニュースなんかろくに放送しない日本でも、報道されてるくらいの大失態です。
■総選挙概要
労働党政権は賞味期限切れ?
さて、今回の総選挙ですが、いろんな意味で注目されてます。まず第一に、97年以来ずっと政権を担当していた労働党政権への審判という点。特に07年にブレア首相のあとを継いだブラウン首相は、今まで一度も総選挙の信任を受けておらず、これが初めて浴びる国民の審判となります。はじめはそこそこだった支持率ですが、世界金融危機のあおりを受けて失速。さらに、ブレア政権下でブラウンがずっと財務大臣を務めていたことから、金融立国を目指したブラウンの過去の仕事まで非難される有様。加えて、議員の経費乱用問題や党内の反乱など厳しい状況下でここまでなんとかやってきました。
イギリスでは政権交代は日本に比べて頻繁に起こります。97年-10年までの13年間政権を担ってきた労働党。そろそろ第一野党の保守党へ政権交代の時期、といえばそうなのかもしれません。
ところが今回は、素直に「労働党が駄目だから次は保守党政権で」とはならない事情があるのです。
第3極の台頭とハング・パーラメント
第2の注目は、イギリスの伝統、2大政党制が崩れつつある点です。3ヶ月くらい前までは、保守党による政権交代は確実、というのが一般的な観測でした。しかし、保守党が政策面で労働党との差別化に成功していないことなどから、いまいち保守党も支持率を伸ばせていません。両2大政党の間を縫って支持率を伸ばしつつあるのが、第2野党の自由民主党です。英国にも自民党ってのがあるんですね(笑)ちなみに英語表記はLiberal Democrats(通称LibDem リブデム)、日本の自民党はLiberal Democratic Party(LDP)です。
この第3極・自民党の台頭で懸念されるようになってきたのが、ハング・パーラメント、つまり、どの党も議席過半数を獲得できない状況です。「宙吊り議会」などと訳します。どうも現状ではハング・パーラメント化の可能性がかなり高いみたいですが、そうなると政権を樹立するために、どうしても2つ以上の党による連立が必要になります。
政策面から見て、保守党が自民党と組む可能性は低いため、労働党は自民党を取り込んで政権を維持する可能性が浮上し、保守党は単独過半数を目指して奮闘中、というのが現在の状況です。ただ、議席数第1党が保守党となった場合、それに劣る労働党=自民党連合が政権を担当するのは民意の反映としてはどうなのか、という問題があります。
自民も民主もダメ。間隙を縫ってみんなの党の支持率が上昇、という日本の状況に似ていますね。ただ、英国の自民党は現状でも62議席、全体の22%を占める立派な第3勢力。みんなの党とは規模が違います。たちあがれ日本、新党改革など、第3極がまとまれば、自民・民主を脅かすことが出来るのかもしれませんが…。
■選挙特集サイトが面白い
今回の選挙で個人的に興味を惹かれているのが、英国の選挙特集サイトの充実振りです。BBC(英国放送教会、イギリス版NHK)やGurdian紙のサイトなど、非常に面白いガジェットがそろっています。Election Seat Calculator(BBC)
実際に見てみましょう。こちらは、BBCのElection Seat Calculator(http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/election_2010/8609989.stm)上の画面は、4月27日のYouGov社による世論調査の結果を反映した選挙区勝敗一覧。各政党支持率、労働党28%/保守党33%/自民党29%を反映すると…おお、このままなら労働党が第一党の座を守れそうです。ただ、過半数には達しないため、ハング・パーラメントとなってしまいます。
さて、上記の失言事件を反映して労働党の支持率が下落したと仮定しましょう。左上の円グラフのつまみを移動させると、それぞれの政党支持率が変化。各選挙区の当落予想も変化します。ちょっと極端ですが、労働党が支持率を10%近く落とし、労働党20%/保守党35%/自民党35%でシュミレーション。
すると…。
保守党が第1党となり、労働党は第2野党に転落。しかし、またもハングパーラメントです。労働党143・自民党181の議席を足して324議席。保守党の297議席を超えます。これは自民=労働党連立政権の誕生か!?
ちなみに上の画面は、ブレア労働党が政権を奪還した97年総選挙の再現。歴史的大勝利とされていますが全英が労働党のシンボルカラー・赤一色。円グラフの真ん中も、労働党のシンボルマーク・赤いバラです。
Election map and swingometer(Gurdian)
こちらはGurdian紙のElection map and swingometer(http://www.guardian.co.uk/politics/interactive/2010/apr/05/general-election-map-swingometer)。ガーディアンは、どちらかといえば労働党よりの新聞と言われています。上が選挙前の現在の議席状況。ロンドン・マンチェスター・エディンバラなどの都市部で労働党、逆に地方では保守党が多くの議席を占めていることが一目瞭然です。
さて右上の丸ボタンをスイング。労働党の支持率を大幅に減らし、保守党を大幅、自民党を小幅に支持率上昇のスイングをかけます。すると…
おお、保守党の単独過半数が実現です。ただ、この可能性は低そうなので、次は労働党の支持率減少をそのままに、自民党の支持率を大幅にアップしてみます。すると…。
労働党が第1党を守ったものの、またもハングパーラメントです。自民党と連立すれば過半数を獲得。労働党と保守党の間にもかろうじて1議席差があるので、なんとか体面を維持できそうな連立政権の誕生です。
…とまぁ、こうやってマウスの操作だけで気軽に選挙予測を楽しめるわけです。実際にどんな計算式を使ったソフトなのかは解りませんが、どれもハングパーラメントの可能性が高そうですね。
それにしてもこれは面白い! たぶん画面だけみててもわかりにくいと思いますので、実際にいじってその面白さを体験してください。今回は2つだけ紹介しましたが、他にもいろいろな選挙予測ガジェットが存在します。
日本の報道各社にも、参院選が始まる前に、是非これに匹敵するガジェットを作成していただきたい!
I do not leave a leave a response, however I looked at a bunch of comments on this page "イギリス総選挙がいろいろと面白い".
返信削除I actually do have a couple of questions for you if it's okay. Is it only me or do some of the remarks look as if they are coming from brain dead people? :-P And, if you are posting at additional online social sites, I would like to follow anything new you have to post. Could you make a list of every one of your public pages like your Facebook page, twitter feed, or linkedin profile?
Also visit my web page :: コーチバッグ コーチバッグ コーチアウトレット
This post presents clear idea in favor of the new viewers of
返信削除blogging, that genuinely how to do blogging and
site-building.
My weblog - コーチ
I absolutely love your blog and find many of your post's to be exactly what I'm
返信削除looking for. Do you offer guest writers to write content for you?
I wouldn't mind creating a post or elaborating on some of the subjects you write with regards to here. Again, awesome web site!
Feel free to visit my site - クリスチャンルブタン
It's great that you are getting thoughts from this paragraph as well as from our argument made at this place.
返信削除Also visit my weblog :: メンズコーチ