「きみは単純な事実といった。だがこの年になると、単純な事実を語るのがいかに困難か、わかるようになってくる。事実とはそういうものなんだよ。雑多で煩雑な要素が、時を経て事実の単純さを癌細胞の様に肥大させ、より複雑な方向に増殖させる。そのうちいかなる単純さもそれだけを抽出するには、ひどい手間がかかるようになる。これが単純な事実の辿る経路なんだ」
「そうだ。単純な事実こそが複雑な様相を帯びる。しかし真理のほうは、より単純な方向に向かうかもしれない。最近、私はそんなふうに考えるようになってきた。」とある小説の、物語の核心に関るセリフから引用。ネタバレになりかねないので、小説名は伏せておきます。
歴史を学ぶ過程で強く感じていたこと、そのものです。
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