ブログ紹介

フィリピン・バギオ市在住 ㈱TOYOTAのブログです。旅日記・書評・メモなどなんでも詰め込むnaotonoteの文字通りオンライン版。
現在は英語学校 PELTHで働いています。過去のフィリピン編の記事は、学校のブログに転載しています。

2011-09-09

『国防論』

小林よしのりの『国防論』です。小林よしのりを読むのは相当久しぶりな気がします。新作読むのは『沖縄論』とか以来じゃないかな。SAPIOはたまに立ち読みしてたんですが、単行本でじっくり読んだのは、読書メーターによれば実に5年ぶりです。



主な内容・主張としては、
  • 3・11大震災後、自衛隊がいかに行動したかのドキュメンタリー
  • 自衛隊が災害を含めた有事に対応できるのは「軍隊」だからだ
  • 自衛隊の任務は日本の「国体」を守ることだ
  • 中国の海からの侵略に警戒せよ
  • 少年工科学校・江田島幹部候補生学校のルポ
  • 段階的な「脱原発」ではなく、即時の脱原発を
といったところ。震災後の自衛隊の救出活動に関しては、思わず目頭が熱くなることもしばしば。「即応予備自衛官」なる人たちがいて、今回の救出作戦にも参加していたことははじめて知りました。

対中国防衛論の話題は、フィリピン滞在の直後だったので、とても生々しく感じました。当時フィリピンではスプラトリー諸島の問題で中国とリアルタイムでもめていました。先生が授業中に愚痴りだすレベルだったので、現地では一番大きな話題であったような印象があります。

この戦場ではフィリピンの劣勢がほぼ確定しているわけですが、じゃあ日本は大丈夫なの? って問いに、若干の安心感を与えてくれるのが少年工科学校と、江田島幹部候補生学校の取材編。ともに海上自衛隊の訓練学校ですが、日本と中国では、兵の「質」と「士気」がぜんぜん違うんだ、って指摘に、少しほっとしました。

もうひとつなるほど、って思った指摘は、中国共産党政府がチベット・ウイグルなど非漢族を弾圧するのは、逆に彼らから支配を受けてしまう可能性の裏返しである、ということ。確かに中国の歴代王朝には、それこそ北魏(鮮卑族)に始まって、元(モンゴル人)、清(満州族)など、漢族が支配される側だった歴史も多々あります。どうも弾圧する共産党・弾圧される非漢民族ってイメージが定着していますが、中国大陸内における、民族間のヘゲモニー争いって文脈でこれを考えたら面白いなって気付かされました。

本書を読んで、航空自衛隊に入隊した友人のことを思い出しました。陸自・海自に関してはかなり言及されていますが、「空からの防衛」についてもいつか論じてほしいな、と思います。







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