トヨタ自動車の創業家・豊田と、松下電機産業の創業家・松下。初代、豊田佐吉・松下幸之助に始まり、最近の渡辺・大坪両社長にまで到る、トヨタVSマツシタの対比列伝。
世界でなお圧倒的なブランド力を誇るTOYOTAと、創業家の名を捨てPanasonicに生まれ変わった松下。この2社の違いとは何か?両社における、創業家の役割の違いとは?両者を対比させることで、お互いの特性が浮き彫りになってくる構成です。とっても読みやすい。
あくまで「会社における創業家の位置」がメインテーマなので、両社の社史を俯瞰する本ではありません。登場人物は、ほとんどが創業家の人間と、社長クラス。『プロジェクトX』みたいな、汗と涙の現場ドラマではなく、『華麗なる一族』の世界に近い本です。
「結果を出さなければ跡を継げない帝王学」豊田と、「失敗と挫折を知らない帝王学」松下(P47)この違いが、両社の創業家の位置を変えてしまったようです。
「…豊田家と松下家の創業家の命運を分けたものは、創業家への求心力を形に出来たものと、そうでなかったものとの違いであった」(P197)歴史の長さでは比較にもなりませんが、天皇家と豊田家を比べてみても面白いかもしれない。創業家を後ろ盾にして改革を進めたトヨタの奥田碩と、「親創業家」「反創業家」の2項対立を生んでしまった松下の山下俊彦・中村邦夫の比較も興味深いです。
「企業を立ち上げたい。ゆくゆくは息子に継がせたい」と思う人には必読の書じゃないでしょうか。まぁ今日びそんな価値観を持つ人、あんまりいないと思うけど(笑) むしろ、親に会社を継げといわれている創業家2世・3世が読むと面白いのかも。実は友人にもそのような境遇にいる奴がいるので、ちょっと勧めてみたいと思ってます。
あと、副作用というか、『島耕作』シリーズの副読本としてもオススメです。『島耕作』の初芝は松下がモデルとなっていますが、そのせいか木野・大泉・中沢・郡山などの歴代初芝社長のモデル、この人か!って発見が続発することうけあいです。誰かトヨタ自動車をモデルにしたサラリーマン漫画描いてくれないかなぁ。
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